ガバナンス
人的資本開発の考え方
ノーリツグループは、人的資本、すなわち従業員を最も大切な資産と捉え、一人ひとりが能力を最大限発揮することで、お客さまと社会に価値を提供し、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指しています。
その推進に向けて、中期経営計画Vプラン26の人材戦略を策定し、「多様な人材を活かす」「成長実感を生み出す」「挑戦を後押しする」を、企業価値を高める重要な要素である従業員のエンゲージメントを向上させる重要なテーマとして掲げ、様々な人事施策に取り組んでいきます。
推進体制
ノーリツグループは、持続可能な事業活動を推進し、幸せをわかし続けるための仕組みとして、サステナビリティ推進体制を構築しています。人材戦略に基づく具体的な取り組みは、人事部が企画・実行し、サステナブル推進会議にて取り組み状況や結果の報告、進捗の確認を行います。人的資本開発における、ここの課題については、下位会議体・ワーキング活動にてPDCAをまわしています。また、サステナブル推進会議に上程、報告・議論された事項および顕著なリスク課題については、経営戦略統括本部長(取締役兼常務執行役員)を委員長とする「サステナブル委員会」に上申され、議論されます。
サステナブル委員会の活動については、経営会議および取締役会が適切に監督を行い、サステナブル委員会において審議された事項は、定期的に経営会議および取締役会に付議・報告されます。
戦略
中期経営計画Vプラン26の人材戦略
中期経営計画Vプラン26において、以下を重要テーマとして掲げ、関連施策を実行していきます。
1.多様な人材を「活かす」取組み
女性・シニア・障がい者・外国人等、多様な人材の雇用や活躍を推進し、個々の力を最大限発揮できるよう取り組んでいきます。また、健康経営やスマートワークを推進することにより、ウェルビーイングの実現に努めます。
2.成長実感を「生み出す」取組み
サクセッションプランにつながる次世代経営者人材育成プログラムを策定し、意図的な異動・抜擢配置によるタフアサイメントや選抜研修により、人材プールを構築していきます。また、働く価値観が多様化していることを鑑み、パフォーマンスマネジメントや1on1を通じてやりがい創出やキャリア自立を支援するといったマネジメントへの変革や、従業員がありたいキャリアを考える機会の提供や実現する制度の充実に努めます。
3.「挑戦」を後押しする取組み
Valuesに掲げている"すべては挑戦からはじまる。"を組織文化にまで昇華させ、一人ひとりが挑戦することでVプラン26の実現やその先の将来につなげていきます。
リスク管理
ノーリツグループの事業活動において、従業員は大切な資産であり、会社の発展には多様な人材が必要と捉えています。
国内は、労働人口減少や求人倍率の増加を背景とした人材不足が顕在化しており、劇的に変化する社会のニーズに対応し、多様な価値観・才能・ライフスタイルを持った人材が能力を最大限発揮出来る会社・職場にしなければ、有能な社員や将来を担う若手社員などの離職により、製品・サービスの品質が落ちることで、事業活動における競争力が低下することは、当社グループの経営成績及び財務状況へ影響を及ぼす重要なリスクとして認識しております。
ノーリツグループは、人材確保に向け、新卒採用だけではなく、キャリア採用や経験者採用の比率を増やし、あるべき人材ポートフォリオの形成を進めていきます。また、成果創出支援だけでなく、多様化する価値観をもった従業員のやりがい創出やキャリア自立支援を目的としたマネジメントへの変革や従業員がありたいキャリアを考える機会の提供とそれを実現できる制度の充実に取り組むことで、従業員のエンゲージメントを向上させていきます。
指標と目標
ノーリツグループは、人材戦略の実効性をモニタリングするために、以下の通り、人的資本に関する非財務指標を設定し、進捗を管理していきます。
ダイバーシティ&インクルージョン
基本方針
多様性の醸成について
少子高齢化で労働力が減少する中、企業が持続的に成長するためには多様な人材が力を発揮する事が重要です。
そのために職場環境を整備し、従業員一人ひとりの個性や強みを最大限に発揮できるよう取り組んでいます。
雇用に関する基本方針
ノーリツグループは、ノーリツグループ人権方針に示すとおり、「人権尊重」に留意し、公正な選考と、高齢者や障がい者など多様な人々の就労機会の提供に努めています。
事業戦略と連動した人材の確保
まず、事業連略と人材戦略を連動させることを重要視します。
事業規模に見合った人員総数、そこから各事業ポートフォリオに必要な人員規模の設定、かつ、適所適材を進め、適切な人材ポートフォリオを形成します。
直近では、事業の存続に必要な人員総数を確保するために、継続的に新卒採用活動を行うことに加え、事業戦略の実現に必要となる高度な知識・経験を有する外部人材を獲得するために、中途採用活動も拡充させております。
女性活躍推進
意欲ある女性社員のさらなる活躍を目指し、教育機会や社外交流会への積極的な参加を促進し、自らのキャリアや働き方を自律的に構築する支援を行っております。
2017年には「仕事と家庭の調和」の観点から「企業主導型保育園」を明石本社工場内に開設し、出産・育児休業を取得した従業員のスムーズな復職、さらに子育てしながら安心して働ける環境づくりに取り組んでいます。
今後は、人材教育と連動したポジション登用などのチャレンジ経験を通じて成果を出せる人材を輩出し続けることにより、意思決定の場に多様性(世代、ジェンダー)が反映されることを目指します。
障がい者雇用
ノーリツグループの障がい者雇用におけるCSRマインドは、障がい者を含めた多様な人材が活躍できること。
障がい者自身が能力を発揮し、やりがいを持って仕事に取り組めること。
グループ全社員が、障がい者との協働・共生を意識し誇りを持って仕事に取り組めることを目指しています。
特例子会社のエスコアハーツだけでなく、個々のグループ会社でも直接雇用しノーマライゼーションの実現に向けて取り組んでいます。
取り組みの状況
エスコアハーツでは、親会社であるノーリツからの受託業務を主体に、2023年6月現在59名(実人数)の障がい者が各職場で勤務しています。
2019年、エスコアハーツは「社員とその家族が健康な会社になる」というスローガンを掲げ、健康経営をスタートさせました。
そして従業員の健康管理を経営的な視点で考え取り組んでいる法人として評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人」に5年連続で認定されました。
事業内容及び、障がい者の活躍状況は特例子会社エスコアハーツ ホームページをご覧ください。
指標2026
中途採用比率 | 55% |
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女性管理職比率 | 8% |
障がい者雇用 | グループ適用実雇用率3.0% |
※2023年6月時点では国内グループ会社13社中10社で障がい者を雇用し、合計133名が従業員として働いています。
2023年にはグループ適用会社7社で障がい者雇用率は2.92%となりました。
雇用納付金が義務付けされないグループ会社でも雇用に対する意識や風土醸成に努め、国内グループ13社合計で、障がい者雇用率は前年3.55%から2023年は3.82%となりました。
ウェルビーイングの実現
健康経営の推進
方針・体制
健康宣言
健康経営基本方針
◆方針①
従業員のパフォーマンス向上:プレゼンティーズム/アブセンティーズムにおける懸念事項を払拭すべく、社員の健康リテラシーを高め、活き活き・ワクワクと働ける職場づくりを実現することを目指します。
- ただ単に「病気でない」ということではなく、身体的・精神的・社会的に良好であり、調和のとれた状態であることが重要と考えます。
- 従業員のワークエンゲージメント向上を切り口にメンタル面での健康度を高め、パフォーマンス向上を図ります。
- ワークエンゲージメント(Wevox)を定期的にモニタリングし、持続性を確認、向上を目指します。
◆方針②
人材定着と採用力の向上:生産人口が減少し、採用活動において人材の確保が難しくなってきている中、健康経営を通じたリテンション施策に取り組みます。また、当該施策を展開していくことで「働きやすい会社」として内外からの認知度を高め、人材採用力の向上にもつなげていきます。
- 在籍している従業員に長く勤続し働き続けてもらうというリテンション(定着化向上)を実現します。
- プレゼンティーズムの観点で、人材開発研修を通じ「横のコミュニケーションの活性化」、「職場の上司との関係性向上」を図ります。
指標2026年
プレゼンティーズム(エンゲージメントサーベイ Wevoxによる計測値 [最大値100]) |
健康:65 |
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アブセンティーズム(メンタルヘルスに伴う休業者数) | 3年累計:50人(2023年4月~2026年3月) |
プレゼンティーズム ベンチマーク(業界比較):機械・電気製品 1001~5000人の企業の平均値59
取り組み
健康経営推進体制
健康担当役員(取締役兼常務執行役員 経営戦略統括本部長 廣岡一志)の監督のもと、会社側と労働組合側の社員、健康保険組合、産業医が連携した取り組みを行っています。各事業所における安全衛生活動を推進するとともに、法令に基づく定期健康診断、ストレスチェックの実施結果や従業員からの意見へ対応等、 産業保健スタッフ(産業医・保健師)がフィジカル面・メンタルヘルス面のフォローにあたり、労働災害や過重労働の防止を含めて、心身共に元気で、持てる力を最大に発揮することができる環境づくりに努めています。
ノーリツ流健康経営の進め方
◆三位一体(人事部門・健康保険組合・労働組合)で分業・連携しながら推進していきます。
社員自身が健康づくりの意識を高めることや、社員が病気やケガにより長期間休むことなく最大限に力を発揮できる環境(職場)をつくっていくために、人事部門・健康保険組合・労働組合との協力体制で以下のような取り組みを行っています。
なお当社では、年二回、取締役および常務執行役員が参加する経営会議において、健康経営に関する取り組み状況を報告しております。この会議を通じて、社員の健康増進と働きやすい職場環境の実現に向けた施策を継続的に推進しております。
<健康保険組合主導・人事部門連携>
- 健康診断・人間ドックの受診勧奨
- 健康診断・人間ドックの有所見者の再受診勧奨
- 疾病発見・リスクの早期発見(がん検診の受診促進、健診結果に基づく個別フォローの実施)
- 疾病の未然防止(若年者への特定保健指導の実施、禁煙サポート など)
- 保健指導の実施、特定保健指導の参加者拡大
- 休職者へのケア・フォローおよび復職前サポート(ムリなく、速やかに職場復帰するためのサポート)
- 休業者の再発防止対応
- 健康増進・生活習慣病予防に向けた情報・ツール提供
- 社内の勉強会・研修会・イベントでの「健康身体づくり」をテーマにした取り組みの促進
<現場部門主導・人事部門・労働組合連携>
- 安全衛生委員会の活動として、各職場の特性(製造系・運輸系・事務系)に応じた健康増進活動
- ストレスチェック 高ストレス者の確実な面談対応・フォロー
- 過重労働防止・36協定違反への確実な対応
- 労使協議会などの機会における労務課題の対応
※申請の結果、「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。
戦略マップ
健康経営の取り組みによる経営課題解決へのつながり
スマートワークの推進
ワークライフバランス支援制度
従業員のワークライフバランスを重視し、多様な人材が柔軟な働き方を選べるよう、様々な休暇や勤務時間に関する制度や環境を導入しています。
指標2026年
エンゲージメントサーベイWevoxによる計測値 [最大値100] | WLB:68 |
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福利厚生の充実
新たな取り組み
- 新福利厚生サービスの導入(2024年4月導入予定)
福利厚生サービスにおける「ポイントインセンティブ制度」を活用し、健康経営+社員満足度向上+福利厚生活性化を目指します。 - 金融リテラシーの向上(ファイナンシャルウェルビーイング)
金融リテラシーを高めるために資産形成に関する教育機会を提供することで、社員のエンゲージメントの向上を図ります。
既存福利厚生
- 福利厚生サービス(各種会員割引サービス)
- 健康保険組合、厚生年金基金、企業退職金制度、確定拠出年金制度
- 財形貯蓄、従業員持株会、団体保険 など
指標2026年
健康経営やスキルアップを促進する総合型福利厚生サービスの利用率 | 40% |
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個と組織の成長
次世代経営者育成
持続的な組織の成長のために、取締役候補者の選定におけるサクセッションプランに定められる人材要件を充足した人材を輩出し続けることを目的として、経営と人事が一体となって次世代経営者候補の育成に取り組んでいます。
ハイポテンシャル人材を評価・選抜し、経営リテラシーの習得だけではなく、異動や配置による新たな仕事経験の付与までを含めた育成計画をデザインして実行しています。
環境変化の激しいなかで、変革を牽引して次世代の経営を担える人材を育成します。
指標2026年
次世代経営人材プール充足率 | 60% |
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マネジメント変革
事業構造変革の推進と、挑戦する組織文化の醸成を実現するために、管理者のチェンジマネジメントを目的として、組織の全リーダー・所課長を対象にマネジメント変革をテーマとした教育機会を提供しています。
事業戦略に基づく上位方針とアライメントのとれた自チームの方針立案と方針展開を起点に、メンバーと議論するなかで目標への理解と納得感を高める取り組み推進しています。
また、実行プロセスにおいても1on1の実施を推奨し、メンバーの成果と成長に向けた支援を行うことで、パフォーマンスとエンゲージメントの双方の向上へ取り組んでいます。
指標2026年
マネジャー(リーダー・所課長)の年間研修・教育参加率 | 85% |
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キャリア実現の仕組みづくり
従業員の自律的なキャリア形成を促進するために、節目の年齢でのセルフキャリアドックを実施し、従業員へ自らの将来のありたい姿を考えてもらうことを促進しています。
そのうえで、キャリアビジョンの実現を後押しするために、各種テーマに応じた研修やセミナーといった教育機会を提供することとあわせて、資格取得や自己啓発を支援する福利厚生制度を用意しております。
また、自己申告により自身のキャリア観を意思表明できる機会を提供したり、社内外を問わず活躍のフィールドを広げてもらうための定年自己申告制度や再就職支援制度を整えております。
リスキリング
DX人材育成プログラム
事業構造を変革していくうえで、「ものづくり」と「ビジネスモデル」の変革を2大テーマに掲げ、これからのデジタル化社会を牽引する推進者を社内で輩出ためにDX人材育成に取り組んでいます。
将来を見据えて、自社の経営戦略の実行に不可欠なDX人材の要件を定義し、職種やターゲットを絞りながら単なるインプットにならないよう業務と紐づけて計画的なリスキリングを展開しています。
グローバル人材育成プログラム
国際市場での競争力確保のため、グローバルビジネスに興味のある従業員を対象としてグローバルキャリアについて考える研修教育を開催しています。その後、継続して実際に海外で仕事をすることを希望する従業員へは、本人の適正を考慮したうえで語学教育や海外短期留学の機会を提供していきます。
指標2026年
研修参加延べ人数
2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
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1,582人 | 1,600人 | 1,700人 | 1,800人 |
挑戦する組織への変革
Vプラン26の実現に向けて刷新された理念体系のなかから、特に従業員の走り方を示した新Values「すべては挑戦から始まる」に関して、浸透から実践までの様々な施策を展開していきます。
社内取締役が現場を訪問し、Vプラン26に込めた思いや、新理念体系の意味を伝える「わかす会議」を展開することに加え、各現場では「理念浸透ワークショップ」を開催し、"チームの挑戦"・"個人の挑戦"を考える機会を提供します。
理念に対する理解を深めて共感を高めることで、まずは個人が掲げた挑戦の一歩を踏み出すきっかけを作り、あわせて、その一歩が称賛されるような報奨制度の導入を進めてまいります。
失敗やリスクを恐れることなく、主体的な"挑戦"を通じて、従業員一人ひとりのやりがいを醸成します。