AIを活用した故障診断支援アプリの実証実験で、 サービスエンジニアの業務効率を向上~故障診断時間を短縮し、サービス品質を強化~
湯まわり設備メーカーの株式会社ノーリツ(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:腹巻 知)は、予測AIと生成AIによって機器の故障原因を診断する実証実験を実施しました。DataRobot, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、以下DataRobot)のEnterprise AI Suiteを活用して「AI故障診断支援アプリ」を開発し、故障診断時間の短縮と、サービスエンジニアの経験値に依存しない高品質なサービス提供を実現しました。今後、対象製品の拡大や海外展開を視野に、さらなるサービス品質の向上を推進します。
実証実験の内容
背景
従来のアフターサポートでは、機器の修理訪問時において、故障診断と修理対応はサービスエンジニア個人の経験に依存していました。しかし、メンテナンス製品の多さや機器の複雑さから、サービスエンジニアの知識レベルは経験によって大きな格差が生じ、顧客満足度への影響が懸念されていました。この課題に対し、過去のサービスレポートを分析・共有し、技術ノウハウの継承を推進しています。膨大な修理データをより効率的に処理するため、DataRobotのAIプラットフォームを導入し、予測AIと生成AIを活用した故障診断の実証実験を実施しました。
実施内容
当初、AIの活用範囲は修理データの分析に留まり、結果データの分類や共有は担当部門にて実施していました。しかし、情報は表計算ソフトで共有されており、アクセス性とリアルタイム性に課題がありました。そこで、DataRobotのEnterprise AI Suiteを活用し、現場のサービスエンジニアが入力した情報に基づき、故障内容を自動的に分類し、故障パターンに対応する処理方法を自動で予測・提示する「AI故障診断支援アプリ」を開発しました。本アプリは、2024年10月より対応機種を限定して検証を実施。サービスエンジニアが、現場でより迅速かつ的確に意思決定が図れることで、問題解決までに要する時間を大幅に短縮できることを確認しました。
AIを活用した実証実験による成果と期待
■故障診断時間の短縮 : サービスエンジニアに対し、問題に関連する情報と予測される洞察情報を即座に提供することで、機器の問題を診断し、解決するために必要な時間を短縮します。
■顧客体験の向上 : 問題を解決する時間の短縮とサービス品質の向上によって、顧客満足度とロイヤリティの向上が見込めます。
■サービスエンジニアの効率向上 : あらゆる経験レベルのエンジニアが最高のパフォーマンスを発揮できるようになります。故障と必要な交換部品を事前に予測することで、現場サービスエンジニアは初回完了率を向上し、移動時間とコストを削減することができます。さらに、本アプリの活用を通して、エンジニアの早期育成も目指します。
今後の展開とグローバルな影響
「AI故障診断支援アプリ」の対象範囲を、より幅広い製品カテゴリーに拡大し、2025年2月以降、当社認定のサービスショップでの利用を展開します。また、米国などサービスエリアの広い国での展開可能性を探る予定です。
ノーリツグループのDXの取り組み
当社は、「経験と勘」に依存した従来型のサプライチェーンから脱却するため、2020年にデジタルイノベーション推進室、2021年にDX戦略推進PJ(プロジェクト)を新設し、営業・ものづくりの両面からDX化を推進してきました。2022年にはDX推進の要としてAIツールDataRobotを採用しています。
また、2024年度より開始した中期経営計画「Vプラン26」において「事業ポートフォリオの変革」を重点戦略の一つに掲げ、スマートファクトリー化に取り組んでいます。製品の販売予測や生産設備の予兆・予防保全にもDataRobotを活用したAI開発を実施しています。今後も、DX化の推進によって、原価低減とともにバリューチェーン全体の品質や生産性の向上を図ります。また、労働力不足やワークライフバランスの充実など製造現場の課題解決にも引き続き取り組んでまいります。
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